美しくて不思議なコミック『25時のバカンス』の感想

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アマゾンほしいものリストからいただきました

『25時のバカンス』はアマゾンほしいものリストからいただきました。
ありがとうございます!さっそく読み終えました。

市川春子さんのコミックはすでに『虫と歌』を読んでいて、はじめは「こういうテイストなのか…!」と驚きました。細い線で描かれる美しい絵からは想像できない、難解さ、グロさ、不思議さ。少女マンガのような作品かな、と想像して読んだらまさかのアート系!

人を選ぶ作品なので前置きが長くなります。

上記にあげた作品や、『ブラックスワン』『愛のむきだし』などの映画がOKだと言う人におすすめです。(ちなみに私も普段はどちらかと言えば大衆向けの作品向きの好みなので上記にあげた作品はギリギリOK。そして『時計仕掛けのオレンジ』はアウト。)

モノローグのない話の進み方とか、一般的ではない恋愛だとか、個性のある作品で、好き嫌いはかなり分かれると思います。なので、「大衆向けの作品しか受け入れられない」という人にはおすすめしません。

よかったら音楽でも聴きながら。

絵がとにかく美しい

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モノクロなのに、きらめきがすごい。
どうやって描いたのだろう?と細かいところまで見てしまいます。

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海の底から見える光。
光の表現や、目に見えない物の表現がすばらしい。
逆光風で細かい部分が見えないのがいい。

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絵で表現するなら、現実とは違ったものがいい。
デフォルメされた動物、さまざまなものが組み合わさった機械、架空の世界。
写真と違いがわからないリアルな絵もすごいけど、表現方法を生かした絵のほうが魅力的。

世界観のある奇想天外なストーリー

市川春子さんの作品のなかには、”人でないもの”が出てきます。だけど、人のかたちはしていて、植物だったり、貝だったりします。”人ではないもの”がどうしてそうなったか、どうやって生きていくのか、というのがストーリー部分になります。

いろんな人がいて、いろんな生き方がある

コミックを読み進めていると「いろんなタイプの人間がいて、いろんな生き方があるのは知ってたけど、本当にいろいろあるんだなあ」と思えてきます。
たとえば現実で「実はわたし、宇宙から来たの」といカミングアウトされるようなことがあっても、冷静になれる気がしてきます。また、信じられないような発言をしている人に出会ったとしても、少し驚きながら「世界は広いし、こういう人はいるもの」と思える気がします。

多国の文化を理解するときのような難解さ

ストーリーは難解で、話に入り込むのに時間がかかります。新しい国へ行ってその土地の文化を理解するのに時間がかかるのと似ている。
冒頭から難しい科学用語が出てきたり、学校からいきなり宇宙に飛んだり、会話だけで説明が一切ないせいか、いろいろ原因はあると思います。これは不親切だけど、余計なものがなくて世界観に合っている気がします。

キラキラが眩しすぎるときに

登場人物たちは終始どうしようもないような状態で、セリフとしては書かれていないけど「人間になりたい!」「生きたい」という気持ちを感じます。

普段はキラキラした話で元気づけられるけど、あまりに落ち込んでいるときはキラキラが眩しすぎることもある。そういうわけで、受け入れられないようなできごとが起きたとき、なにもかもがどうでもよくなったときに読み返したい作品でした。

 

あみれ